憧れの提供2015-04-05

最近、こんな記事が話題になった。

2015年の「上質な暮らし」ってこういうことかも | roomie(ルーミー)

http://www.roomie.jp/2015/03/245491/

ワコールの下着ブランドと広告タイアップした記事なのだろうけど、残念ながら今ひとつな構成。企画の段階で「君の趣味の話はいいからさあ」なんて指摘をする同僚はいなかったのだろうか。
『ワコールの気持ちいい下着で爽やかな朝を迎えたいし、忙しい一日の終わりにワコールの下着で安らかな眠りにつきたい』と思わせる文章にすべき、なんてことは素人にだって想像がつく。この文章じゃあノーパンでも愉快な一日が過ごせる僕、みたいな感じだもの。パンツと無関係な暮らし、みたいな。

「おいしい生活」でお馴染みのセゾン文化なんかに象徴されるような、憧れを全面に出した広告は常に存在している。仮にそれが商売なんだと分かっていても、それにのっかりたいという気分になることもある。黒船の時代からずっとずっと日本は「今ここにない文化」に恐れと憧れを持っていて、それをいい塩梅に編集して提供することでうまくやる人々が存在する。

今だってそうだ。
ただ、北欧だ、ポートランドだ、サードウェイブコーヒーだと、矢継ぎ早に放り込むもんだから、消費者が混乱してんじゃないか?なんて逆に心配になる状況だ。下手くそが少し目立つ。

具体性の伴わない気持ちヨサゲな雰囲気に浸る時間だってあっていいし、出来ればもっとそういうのでのせて欲しいと思う時もある。キャッシュを払わなくたって僅かに夢を見る瞬間を提供して欲しいし、たまには払うくらいの心づもり。
それがなんだよ、朝、会社に着くまでにコーヒーを二杯とか。そんな記事読んでも楽しくないよ。

 

四国、愛媛県のローカルムック本の4冊目は、喫茶店特集。ミズモトアキラなども参加している充実の一冊。これを片手に愛媛の喫茶店を回りたくなる。愛媛と言えば喫茶店と錯覚してしまうくらい開くページから魅力が溢れてくる。そうそう、こういう感じになりたいんですよ。

編集後記では喫茶店と生活について、とても興味深いことが話し合われている。
「上質な暮らし」の中にどう喫茶がくみこまれるか?なんてことだけで、結構な種類の提案や幻想は作れそうだ。それだけのテーマだと中身が薄いと没をくらいそうだけど。