砕かれたハリルホジッチ・プラン と フットボールネーション122018-06-14

ワールドカップ開幕の直前というか、ハリルホジッチ監督解任後にまとめられた書籍を読みました。

砕かれたハリルホジッチ・プラン
日本サッカーにビジョンはあるか?
(星海社新書)

元はワールドカップ出場までのハリルホジッチ監督がどういう仕事をしてきたかをまとめる目的で書かれたもの。入稿直前に解任が発表をうけて急いで書き直しがされているけれど、日本サッカーの強化方針は一体どうなっているのか?というテーマは変わっていない。

フットボールネーション 12
(ビッグコミックス)

日本のサッカーを取り巻く状況と海外での考え方の差異を示しつつ、それを実践するアマチュアチームが天皇杯を勝ち進むという漫画の12巻。いよいよ天皇杯の決勝戦。あとがきにあるようにこれも出版直前になってハリルホジッチ監督が解任されたことに触れている。

どちらにも共通しているのは、サッカーを見る人達がもっとサッカーを知らないとチームは強くならないということ。
ハリルホジッチが本気で体脂肪率を下げるよう訴えても、それをあまり大事と考えなかったことを指摘していたり、正当な体の寄せ方をして相手が転んだだけなのをファールを取らないのは八百長だ暴力反対だと言ってみたり、わざとではなく本当にそういう視点でしかサッカーを見られない人が大勢いるかぎりは、やっぱりどうしても体作りは大切にされないし、より正しく有効なプレーをしようとはならないだろうなあと思う。

日本代表がどんな結果になるかは別として、同じルールの競技なのにどこか見慣れないプレーをする沢山のチームが出てくるのがワールドカップだし、それが楽しみでもある。

夏の天才 – SPANK HAPPY2018-06-08


菊地成孔のやる音楽の中では比較的安心して最初から最後までニコニコしながら手拍子できるユニット、SPANK HAPPYの再始動はそれなりにニュースだと思ったのだけど途切れ途切れの15秒バージョンを沢山アップロードしている伊勢丹公式チャンネルの再生数は随分と地味だ。

菊地成孔という人は妙に説得力のある話をする人で、そういう知性や教養と仄暗い夜の世界が入り混じったようなところに惹かれる人が多いのだと思うんだけど、伊勢丹や夏の天才だとちょっと違うのかも知れない。

個人的には最初に3人組で出てきた時の曲の方が好きなんだけど、それはきっと今ではマイノリティで、SPANK HAPPY再始動で浮かれる人たちにどうやって水を挿そうかなんて考えてたのだけど、まだ1曲だけだし、そういう状況では無いっぽい。

90年台前半の音楽で商売をすることが広くできるようになり一種供給過多になっていた日本の音楽業界では、そこまで有名にはなっていないけれど楽しい音楽が沢山生まれていて、自分にとってのSPANK HAPPAYはそういったグループの中の一つ。21世紀の退廃や病的な状態を楽しむ電子音楽のグループではないので、伊勢丹でも夏の天才でも全然バッチコイだ。

長く生きているとそういう個人の体験のズレが楽しめる。