『パリから向かうフランス映画の港町 ジャック・ドゥミとヌーヴェル・ヴァーグの故郷を訪ねて シェルブールから、ロシュフォールまで』の関根敏也さんとお話した

『パリから向かうフランス映画の港町 ジャック・ドゥミとヌーヴェル・ヴァーグの故郷を訪ねて シェルブールから、ロシュフォールまで』の関根敏也さん

去年の秋、『パリから向かうフランス映画の港町 ジャック・ドゥミとヌーヴェル・ヴァーグの故郷を訪ねて シェルブールから、ロシュフォールまで』を出版した関根敏也さんとお話をした。

取り次ぎを通さず、自分達で書店に営業をかけているというスタイルは、どこか現在の空気感にあっていると感じていて、一度じっくりお話を聞いてみたかった。ここでは書かれていないさらに踏み込んだお話は、関根さん主宰のクラブイヴェント『ボーイ・ミーツ・ガール』に足を運んで直接聞いてみることをお勧めします。

ということで、お話スタート。

―本のタイトル、『パリから向かうフランス映画の港町 ジャック・ドゥミとヌーヴェル・ヴァーグの故郷を訪ねて シェルブールから、ロシュフォールまで』、結構長いですよね。
関根:本当は短い方がおさまりがいいんでしょうけれど、検索でひっかかりやすいように全キーワードをいれていったらこうなったんです。
「フランス」「パリ」「ヌーヴェル・ヴァーグ」「ジャック・ドゥミ」「シェルブール」「ロシュフォール」。
「パリ」が入っているかどうかで売り上げが変わるそうです。どこの出版社でも言われました。

―確かにそれだけ入れれば長くなりますね。
関根:有名な作家さんならタイトルに頼る必要もないとは思うのですけどね。デザインに入れ込んだり、書類に記入するのも大変でした。

パリから向かうフランス映画の港町 ジャック・ドゥミとヌーヴェル・ヴァーグの故郷を訪ねて シェルブールから、ロシュフォールまで

パリから向かうフランス映画の港町
ジャック・ドゥミとヌーヴェル・ヴァーグの故郷を訪ねて
シェルブールから、ロシュフォールまで

関根 敏也 (著, 編集, 監修), 小出 ゆきみ (著)

たしかに長いタイトルではあるが、タイトル通りの美しい内容となっている。おススメ。


―最初に企画を立てたのはいつくらいなのですか?
関根:2009年の秋くらいですね。
そもそも最初は本なんか出すつもりはなかったんですよ。自分の趣味の旅行というか、映画の舞台に実際に行ってみたかっただけなんですよね。
それが撮った写真がかなり良くて、こういう本や情報は無いなと思ったんです。そこに行きたくてもなかなか紹介されていない。だから作ってみたら面白いかなと思ったんです。
シェルブールや、ロシュフォールは観光地では無いんです。漁村だったり軍港だったりするだけなので、ガイドブックに載っているわけじゃないんです。

それで企画書やプレゼンの資料を作って、方々に送って。
興味をもってくれたところもあるのですが、話を進めるうちに「パリの本なら売れるんですけど…」ってなるんです。
地方都市となるとかなり絞られる。しかも映画でジャック・ドゥミということで客層がピンポイントになっていくんですね。そうなると売れる数が決まってしまうので、そこで弾かれちゃったんですよね。

―売れる数が見えてしまっていると難しいですね。
関根:出版社は、もしかしたら大ヒットするかも?みたいな企画をやりたいんですよね。はじめから数字が見えているものは、その数字以下しか売れないと判断するわけで。
それで、やってくれないなら自分たちでやるしかないかなって思ったんです。
多少はへこんで、もういいかなとも思ったんですが、悔しい気持ちもあったので。調べられることは調べて、やれることだけやってみようと。

それで次に自費出版の会社について調べてみたら、本を作りたい人がお客さんで、その本を売って商売しようという感じではないんですよね。

―出版と自費出版が補完しあう形じゃないんですよね。
関根:そうですね。それで結局、自分が版元になるしかないと。
やってみて、出版をするのは面倒くさいこともあるけど、そんなに難しくないというのは分かりました。手続きの方法もインターネットで検索すれば分かるんですよね。やる気さえあれば難しくは無いなと。

製本会社で良いところを見つけるのはなかなか大変でしたね。全ページカラーはお金がかかるので、この値段(1890円)にするのは大変でした。
使ったところは他よりも随分安くて、実際に行ってみたら、町工場みたいな下請けの下請けをやってるようなところだったので、金額に中抜きが無かったんです。

―もしコストが合わなかったら白黒もいれようとか思ったのですか?
関根:それは無かったですね。こういう本なので、カラーじゃないとつまらないと思いましたし。
サンプルを見ながら紙を選んだり、ページ数を考えたりして、値段を出してもらって試行錯誤しました。
出来も良くて、やれば出来るんだなと思いました(笑)

―思った通りのものができたと。
関根:ラッキーだったのかもしれませんね。

―本を販売するのには、直接取り次ぎの会社に連絡するんですか?
関根:そうです、出版社として連絡します。
年間の出版点数などで、びっくりするようなことを確認されたりするんですね。断る為に言っているだけなのかも知れないけれど、そんな契約成立するのか?みたいな。
なので個人が取り次ぎを通すのは敷居が高い感じですね。
書店としても継続して本を出してくれる出版社じゃないと扱うのが大変だったりするようです。取り次ぎ通してくれれば扱いたいと言ってくれるところもありました。
その点アマゾンは普通というか、特に面倒なやりとりじゃないんですよね。

当初はアマゾンだけでいいかなとも考えていたのですけど、実際見て買ってもらう機会が無いとなかなか難しいですね。
それで最初に青山ブックセンターに置いてもらおうと思って行ったのですが、そこが駄目で厳しいなぁと思いました。
店長さんは頑張っていただいたのですけれど、会社としては難しいという結果だったんです。

livreenchante

『パリから~』を扱っている書店のリストは、livreenchanteのサイトで随時更新されている。
都内であれば、ディスクユニオンや新宿のタワーレコードでも手にとって見ることが出来る。

―『ロシュフォールの恋人たち』『シェルブールの雨傘』は、シネセゾン渋谷のクロージング上映でかかりましたね。
関根:2009年のリマスター上映の時は、厳しいと思われていたようなんですけど、女性誌なんかにも取り上げられたりして、予想の10倍くらい人が来たそうですね。
クロージングでもかかったということは、それだけ反響が大きかったということですし。
最初の反応は冷ややかだったそうなんですけど、逆に言えばそういう目利きが出来る人が減ってきているのかも知れませんね。

―フランス国内でも人気のある映画なんですか?
関根:フランスでは昔の映画という認識のようですね。日本で言えば石原裕次郎さんの映画みたいな感じでしょうか。

―そうなると渋い趣味みたいな感じですね。
関根:日本人の方が好きなのかも知れませんね。日本人は20代くらいの子から上は60代くらいまで幅広くいるみたいです。
若い子は渋谷系的な文化を持った人から、上はリアルタイムで見た世代だと思うし。

―若い人からの反響もあるんですね。
関根:実際に読者の人からも、行ってみたいという意見をもらって、良かったなと思います。

ロシュフォールの恋人たち デジタルリマスター版

ロシュフォールの恋人たち デジタルリマスター版

監督・脚本・作詞 ジャック・ドゥミ
出演 フランソワーズ・ドルレアック/カトリーヌ・ドヌーヴ
 ジーン・ケリー/ジョージ・チャキリス/ジャック・ぺラン
 ダニエル・ダリュー/ミシェル・ピコリ/グローヴァー・デイル
撮影 ギラン・クロケ
美術 ベルナール・エヴァン
音楽 ミシェル・ルグラン
衣装 ジャクリーヌ・モロー/マリー・クロード・フーケ


シェルブールの雨傘 デジタルリマスター版

シェルブールの雨傘 デジタルリマスター版

監督・脚本・作詞 ジャック・ドゥミ
出演 カトリーヌ・ドヌーヴ/ニーノ・カステルヌオーヴォ
マルク・ミシェル/アンヌ・ヴェルノン/エレン・ファルナー
ミレイユ・ペリー/ダニエル・リカーリ/ジョゼ・バルテル
撮影 ジャン・ラビエ
美術 ベルナール・エヴァン
音楽 ミシェル・ルグラン
衣装 ジャクリーヌ・モロー