12月9日(水) Jリーグを目指すということは「まちおこし」では無いかもしれないが「まちづくり」ではあるということ。2015-12-10

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先週でJリーグは今年の全日程を終えた。クラブワールドカップや天皇杯はまだあるけれど「Jリーグ」での試合はもうおしまい。

近所でJFLをやっている横河武蔵野FCが来年度からJリーグ参入を目指す方針ということを発表している。
今日はチーム名の変更のお知らせが出ていた。「横河」という企業名の入る名称ではJリーグ無理、ということで変更した。

当面は「横河」と呼んでいると思う。前からいる人には今でも「近鉄裏」で通る土地なわけだし。

Jリーグ参入を目指す発表を知った時、ついに来てしまったかといった感情がわいた。どちらかというとネガティブなものだけど、具体的にどういうものか、すぐに言葉にできなかった。
それからずっと頭の片隅で考えていたのでできるだけまとめてみる。

今までの、のんびりした試合はもうできないのかもしれない

分かりやすい目標ができたことは良いことなのかも知れない。でもそうなると目標に向かって!スローガンの元に共に戦う!なんて風になるのは、悪くはないだろうけど、サッカーはそればっかりじゃないよね、というもの。
今までもJFLはJリーグ昇格の通過点だったわけで、Jリーグを目指すクラブと対戦したり、昇格した後のクラブを見たりすると感じることはある。目標達成に一丸となることは悪くないけれど、目標を達成してみたら他に楽しめる部分がそんなにありませんでした、あんまり勝てなくなったし。みたいなことは本末転倒ではあると思う。やってみないと分からないというのは絶対あるけれど、そんな風な残念な例、見たこと無いなんてことは無いよね。
今まで見てきた客にとっては、目標が無いと見に行く価値がないものではなかった訳で、そのあたりのバランスはきっと大きく変わるんだろうと思う。
今ツエーゲン金沢の太田康介がいてJFL2位になったシーズンは、思うような試合運びができて結果が伴って楽しかったけれど、でもそれだけじゃない。
正直なところ、大きな旗が振られ、試合前に観客席で気合をいれる呼びかけが行われる武蔵野陸上は想像つかない。もちろんそれを全否定しているわけじゃないんだけど。

スタジアムが遠いところにいってしまうかもしれない

土曜日13時キックオフの試合ならNHKの生活笑百科終わってから家を出ても間に合う距離だったのが、1時間以上前にでないとキックオフ間に合わないになったら、それはもう別物だ。
本拠地は変わらず武蔵野陸上競技場だということなので、これは取り越し苦労だったのでよかった。
Jリーグのクラブライセンス制度では、きっと今のままでは難しく、改修工事などを行わないといけない可能性が高い。地域の視点で見れば、わざわざ頼みもしてないのにJリーグ目指すということで改修するのか?みたいな波風は立っても不思議じゃないし、そういう話合いなんかはこれから頻繁にされるのだろう。他のクラブでも色々と大変そうな話を見聞きするので、単純に心配。

もっとちゃんと応援したりつきあい方を考えないといけないのかもしれない

今までは良くも悪くも傍観者だった。
コンビニに行く程度の距離、選挙があれば最寄りの投票所になる学校の隣にある場所でサッカーの全国リーグをやっていたから見ていたわけで、もちろんずっと見ていれば愛着もあるのだけど、もっとちゃんと「サポート」した方が良いかなあと考えるようになることは、良いことかも知れないけれど、どこか違和感がある。
クラブと人との関わり方には色々な距離感があって、できる限り密接に付き合ってくれる人が多い方が良いのだろうけれど、それがどんどん薄まりつつも広く浸透していくのがきっと理想だろう。今のタイミングで、今関心がある人の数が急激に増えないのであれば、その人達で熱量をあげていかないとならないのかな?なんて部分で、少しだけ心配な気持ちになる。
今のままできっと構わないのだろうけど、短期的に見ればもっと鼻息荒い人が増えることがクラブにとっては助かることなんだろうけど、人それぞれ事情ややり方が違うわけだから。

やっぱりやめました、Jリーグ無理でした、なんてことでクラブが続かなくなったら嫌だ

なんだかんだで求めることはクラブの存続、継続なので、Jリーグを目指すことが現時点ではクラブがより良くなるという選択なんだと思う。逆にいえばそうでもしないとやっぱり継続無理だったのかな?みたいな風に思ったりもする。違う事情があるのかもだけど。
横河だって、アベノミクスだとかいっても企業の存続や体制の維持は難しいことも多いだろうし、いつまでもサッカーの相手してられないってこともあるだろう。思えば練習グラウンドの周辺にあったテニスコートなんかも無くなっている。なんていう状況からJリーグに活路を見出したとして、それで本当に大丈夫か?というフワッとした不安。何事も続けていくのは大変だけど、続けたいと思う人の気持ちが多く集まればなんとかなるのかも知れない。なんとかなって欲しい。数年前に明太子を全国のサッカーファンが買ったチームが来年はJ1だ。

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なんてことを考えると横河武蔵野の存在感を地域の中で高める方向にもっていくのが大事なのかも知れない

「Jリーグでまちおこし」なんて掛け声は武蔵野市では空虚というか、土日、吉祥寺の賑わいが少しでもグラウンドに行くといいですよねえ、なんて具合だったりする。
市役所で野菜配布したり、桜まつりとか運動会とか、そういう地元のイベントでも、JFLの試合と同じくらいなイベントもあったりするわけで、サッカーというスポーツ興行そのもので何かしら地域貢献がはかれるような土地ではないのが現実だ。

とはいえ、地元としてみれば「徒歩や自転車で見に行ける全国リーグ」「日本代表経験者やJリーグで活躍している選手がジュニア時代在籍経験のあるクラブ」なわけで、その存在を今の武蔵野市の中で少しでも気にかけてもらえるようにしていくことが、きっと大事なんだろうな、なんてことを考える。

Jリーグを目指すのであれば、観客動員も今までのような数百人規模、1000人超えると入場者数発表アナウンスでどよめきが起きるような状況ではいけないわけで、J3昇格には、少なくとも1000人ちょっとは増える必要がある。そうすると多少はバスや人通りが増えるのかなあ、というか増やすためにどうするのかなあ、なんてことも考える。
なんだ意外とポジティブじゃないか。

Jリーグ参入というのは近視眼的にはサッカークラブとして上を目指すことであるんだけど、もっと広い視野で地域との関わりを増やすことであるということに、今回気がついた。
武蔵野陸上競技場改修となれば土建関係の仕事も発生するだろうし、費用もそれなりにかかる。そうなると政治的、経済的な話も出てくる。今までのファンやサポーターや傍観者だけじゃない、濃淡はあるにせよ広く関わる人間が、今まで以上に増える方向に進んでいくんだろうな、なんてことを考えた。

そんな視点でサッカーと社会文化関係の結びつきを説明してくれる人が出てくると面白いかも。