植草甚一スクラップ・ブック2015-05-10

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世田谷文学館へ植草甚一の企画展を見に行った。
植草甚一というと「宝島」や「ぼくは散歩と雑学がすき」くらいでしか知らなくて、人となりやその仕事を見ることが出来て面白かった。

海外の文化を紹介する行為は、ある時を境に何かちょっと偉ぶっているような、権威的な雰囲気をまとったものになったけれど、植草の時代はまだそれが一つの産業で、それ自体に触れることが楽しかったんだろうと感じられる。今よりも「海外」との距離があったからこそのゆとりだったのかも知れない。植草本人も数えるほどしか渡米の経験が無いことが象徴的だ。

展示は、数多くの原稿やメモが並べられていた。映画の試写のメモや日記、雑誌の原稿などなど、当然すべて手書きなのだけど、想像以上に読みやすくしっかりした筆致で書かれていた。スクラップや情報をストックする人は、こうじゃないとと思わせるものがある。綺麗な書き文字は見ていて気持ちが良い。

展示の最後に「三歩屋」と銘打ったエリアがある。晩年に妄想していた古本屋の再現なのだけど、ジャズがかかり、お薦めの書籍が並んでいた。宝島の創刊号などもあって、手にとって眺める事が出来る。文学館ならではの良い展示だった。